DOG
僕が物心つく頃には家には犬がいた。
多分親にねだったのだと思う。もしかしたら拾ってきたのかもしれない。
その犬が死んでしまうと、母に
「こんなにも悲しい気持ちはいつまで続くの」
と泣きながら聞いたことを覚えている。
もうすぐ中学生なのに。
そのあとの雑種の犬は18年生きて、ある日いなくなった。
歩くこともできないほど弱っていたのに。
今でもその犬が夢に出てくる日がある。
そんな日は一日中はぼんやりしてる。
旅に出ると色々な犬に出会う。
犬目当てで野良犬が多い国を選ぶこともあった。
世界遺産やリゾートホテルにも行かないで
粗末なレストランや屋台でカレーを食べて、テーブルの下にいる犬にあげるのが
旅をしていて一番楽しかった。
気がついたらカレー屋さんをやってた。
そうだ!野良犬がテーブルの下でじっとみてくる店にしよう!
なにその目標。
もうすぐ中年なのに。